2013年2月15日金曜日

子供のためにも知ってほしい、最高等級の誤解

本日はお休みをいただき、これから妻の実家がある京都に行ってきます。
住まいネットの高木です。

昨日に引き続き、健康住宅の話です。
大手ハウスメーカーも認識している、我が国で生じている
様々な住環境及び室内環境の障害、その一つがシックハウス症候群です。

シックハウス症候群ではめまい、吐き気、頭痛、目・鼻・喉の痛み、
皮膚のかさかさ、息苦しさなどの症状がでます。

シックハウス症候群の最も大きな原因は、主に建材や壁紙、塗料などから
放散される毒=有害な化学物質です。
 家から出る毒のなかで、健康への被害が大きいとされているのが
ホルムアルデヒドとVOC(揮発性有機化合物)です。

ホルムアルデヒドが水に溶けたものがホルマリンです。
ホルマリンは病院や理科の実験室などにある標本に使われています。

ホルムアルデヒドは殺菌作用があるため消毒剤や防腐剤として使われており、
合板、パーティクルボード(木材の小片を接着剤と熱圧によって造る板)、
壁紙の接着剤などに含まれています。

VOCとは常温で気化(蒸発)する有機化合物のことです。
なかでもトルエンやベンゼンやキシレンによる汚染が大きいと考えられています。
それらは建材の接着剤や塗料の溶剤や薄め液などに用いられています。

これらVOCは「揮発性」というだけあって、
常温でも気化し続けるため室内の新鮮な空気を汚していきます。

一方で間違った家づくりもシックハウス症候群を生み出した一因です。
昔の家は隙間風が多く、断熱性が落ちるとのことから、
大手ハウスメーカーは、体感でも感じない空気の移動を徹底的に止めることで
高性能をうたい、高気密化を進めています。

その結果、毒をたくさん含んだ建材を用いて造った建物が高気密なわけですから、
必然的に室内の空気は毒で汚れていきます。

厚生労働省は1997年~2002年に人の健康に影響を及ぼす化学物質として、
ホルムアルデヒドと13種のVOCの指針値を定めました。
TVOC(総揮発性有機化合物)の暫定目標値として400μg/㎥以下を設定しました。

国土交通省は2003年に建築基準法を改正し、居室の24時間換気の義務付けと
建材のホルムアルデヒド放散量等級と建物の換気回数による建材の使用面積制限をしました。
F☆の建築材料は使用禁止、
F☆☆☆☆(フォースター)の建築材料は換気回数に関わらず使用面積は無制限です。

一見すると対策がとられているかのように見えますが、
よく見るとそうではないことがわかります。問題は3つあります。

問題の1つは、制限の対象です。

厚生労働省が人の健康に影響を及ぼす化学物質として、
ホルムアルデヒドと13種のVOCの指針値を定めたにもかかわらず、
現在シックハウス症候群の原因物質として国が法的に制限ているのは
ホルムアルデヒドのみです。

F☆☆☆☆のFはformaldehydeの頭文字です。
JIS、JASのF☆~F☆☆☆☆のグレードは建材のホルムアルデヒドの放散量の等級を表すだけで、
建材のVOCの放散量には特に法的な制限がありません。あくまでも指針値があるだけです。

2つ目の問題は最上位規格F☆☆☆☆建材のホルムアルデヒドの放散量は
ゼロではないことです。つまり「毒入り」建材なのです。

F☆☆☆☆建材のホルムアルデヒドの発散速度が0.005mg/㎡h以下です。
F☆☆☆☆はもっとも毒の放散量が少ない等級であって、「無毒」ではありません。

大手ハウスメーカーも建材メーカーもこぞって、
最高等級のF☆☆☆☆を標準採用だから安全です、
健康住宅使用です、シックハウス対策はばっちりです、
と言いますが、ホントでしょうか。

毒をまったく含まない建材は「告示対象外」の建材となっていますので、☆は全く表示されません。
代表的なものは無垢材、漆喰、レンガ、タイルなどです。

最後、3つ目の問題は、基準値の単位です。

mg/㎡hは建材1㎡当たり1時間に放散されるホルムアルデヒドのmg数を表します。
つまり、F☆☆☆☆は1㎡当たり1時間に放散されるホルムアルデヒドが0.005mg以下ということです。
あくまでもたった、1㎡です。

家一軒で0.005mg/㎡hを表すと、
例えば延べ床面積35坪の総2階建ての家の床、壁、天井の総面積はおおよそ600㎡になります。

最近のハウスメーカーの主流住宅は床下地は合板、床仕上げは化粧合板です
壁も体力壁は構造用合板を使います。仕上げはビニールクロスです。
天井の仕上げはビニールクロス、屋根下地は合板。室内ドアは化粧合板。
構造材も集成材の柱や梁です。

もはや全面からホルムアルデヒドが発散されているに等しい状況です。
ということは家一軒で1時間に3mgのホルムアルデヒドが放散されていることになります。

先程の延べ床面積35坪の総2階建ての家の室内空間はおよそ300㎥です。
計算すると1時間当たり0.00001ppmの割合で放散していることになります。

WHOも厚生労働省もホルムアルデヒドの指針値は25℃換算で0.08ppmです。
つまり換気をしなければ8000時間、1年に満たない時間で指針値を超える濃度になります。
ですから、F☆☆☆☆の基準はものすごく甘い基準値なんです。

また、ホルムアルデヒドの半数致死量はマウスの経口投与で100mg/kgです。
大人で体重60Kgの人が、その住宅で2000時間過ごすと、
半数は死に至る程の量のホルムアルデヒドが発散されているのです。
2000時間は83日と3か月に満たない時間です。
小学生で30Kgなら1000時間、3000gの赤ん坊ならたったの100時間です。
恐ろしい量が発散されているのです。

大人が口入れることはないかもしれませんが、赤ん坊は床を這いづり廻ります。
なんでも口に入れてしまいます。考えただけでも、ぞっとします。

たったそれだけの時間で経口投与したマウスが死ぬのと同じ量を吸入したり、
肌や目・鼻・喉の粘膜が触れているのです。

ただでさえ、子供は大人に比べて体重当たりの呼吸量が多いため、
より化学物質の影響を受けやすいです。

その結果、現在もシックハウス症候群の患者は発生し続けています。
アトピー患者も増え続けています。

現実にハウスメーカーの建物では
ホルムアルデヒドだけでなく、TVOCの測定値も10,000~20,000μg/㎥を示しており、
TVOC400μg/㎥以下を達成するためには構造材、建材、施工方法を
厳しく制限する必要があるのです。

だから、「神様が宿る家」ではゼロ宣言にこだわり、本物の健康住宅を追究するのです。
大人は住む家を選べるが、子供たちは選べない。
だから、本物の健康住宅でなければならない。それが大人の責任です。

今日も一日頑張りましょう。今の子供たちのためにも。将来の子供たちのためにも。

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